かかりつけの動物病院をどう選ぶか、迷う方は多いのではないかと思います。犬や猫を初めて迎える方はもちろん、引っ越しなどで新しくかかりつけ医院を探し直す方もいるはずです。今回は、マロンを迎えたときに、うちが実際に重視したポイントと、動物病院で働いていた経験から見た、病院選びの目安について書いておきます。
今のかかりつけ医院を選んだ理由
一番の決め手は、家から近いことでした。何気ない基準のようですが、病気やケガで通院するとき、距離は思っている以上に大きな負担になります。特に、緊急時や、しばらく通院が続く治療のときは、病院が遠いと、それだけで足が遠のいてしまうこともあるようです。定期的な健康診断のような、それほど緊急性のない通院であっても、毎回時間のかかる距離だと、次第に足が向きにくくなってしまいます。無理なく通える距離にあることは、長く付き合っていくうえで、意外と大切な条件だと感じています。
もうひとつ確認したのは、ネット上の口コミや評判です。すべてを鵜呑みにするわけではありませんが、実際に通った人の感想には、パンフレットだけでは分からない情報が含まれていることも多く、参考になりました。特に、対応の丁寧さや、急患時にどう対応してもらえたかといった体験談は、公式サイトの情報だけでは見えてこない部分なので、複数の口コミに目を通すようにしていました。
このほか、一般的によく挙げられる病院選びの視点として、院内の清潔さ、スタッフの対応、説明の分かりやすさ、待ち時間の長さなどもあります。これらは実際に一度受診してみないと分かりにくい部分もありますが、初診の際の印象として、意識しておくとよい点だと思います。特に待ち時間については、動物病院は予約制でも急患が入ることがあり、必ずしも予定通りに進まないこともあります。多少の待ち時間は避けられないものと考えつつ、待合室の雰囲気や、他の動物と落ち着いて過ごせる環境かどうかも、あわせて見ておくとよいかもしれません。
病院探しで重視したポイント(獣医師としての視点)
もうひとつ、うちが重視していたのは、夜間診療または急患対応をしてくれる病院であることです。体調の急変は、診療時間内とは限りません。夜間や休日にも対応してくれる病院、あるいは提携している病院を把握しておくと、いざというときに安心です。
これは実体験に基づく考えでもあります。先代の犬(シーズー)が、椎間板ヘルニアなどの症状で、過去に2回ほど夜間診療をお願いしたことがありました。夜中に急に足を痛がり出したり、動けなくなったりする様子を見たときの心細さは、今でもよく覚えています。そんなとき、夜間に対応してもらえる病院がある、と分かっているだけで、気持ちの余裕はまったく違いました。急患対応の有無は、実際に困る場面に直面するまで意識しづらい点ですが、あらかじめ確認しておく価値のあるポイントだと思います。夜間・休日の急患を、その病院自体では受け付けていなくても、提携している救急対応の病院を紹介してもらえる体制が整っているかどうかも、確認しておくと安心です。
動物病院で働いていた経験から見て、良い病院の目安として感じているのは、セカンドオピニオンを快く勧めてくれるかどうか、検査結果や治療方針を、専門用語に頼りすぎず分かりやすく説明してくれるかどうか、という点です。治療方針に迷ったときに、他の病院の意見も聞いてみたいと伝えて、嫌な顔をされないかどうかは、飼い主にとって案外重要なポイントだと思います。信頼関係がしっかりしている病院であれば、セカンドオピニオンを勧められても不安に感じることはなく、むしろ治療の選択肢を広げる前向きな提案として受け止められるものです。
また、検査結果や治療方針の説明についても、専門用語をそのまま並べられるだけでは、飼い主としては判断のしようがありません。治療の選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、費用の目安まで、分かりやすい言葉で説明してくれるかどうかは、実際に診察を受けてみないと分からない部分ではありますが、意識しておきたい視点です。特定の病院を評価するものではありませんが、こうした姿勢がある病院は、飼い主として相談しやすく、長く付き合ううえでの安心材料になりやすいと感じています。
マロンの通院の様子
ここまで真面目な話が続いたので、少し力を抜いた話も書いておきます。マロンは、病院に向かう道に気づくと、途端に歩くのを拒否します。リードを引いてもてこでも動かず、最後は抱えて連れて入ることになります。
院内に入ってからも、落ち着かない様子は変わりません。待合室の椅子の下や、隅の隙間を見つけては、そこに潜り込んで診察の順番を待っています。
ところが、いざ診察台に乗ると、待合室での様子が嘘のように大人しくなります。怖がる子は怖がりますし、診察台では意外と落ち着いている子もいる、というくらいの話ですが、うちの場合はこのギャップに毎回驚かされます。
こうした性格もあって、待合室に身を潜められる場所があるか、他の動物とある程度距離を取れる作りになっているかは、犬の性格によっては見ておくとよい観点かもしれません。すべての子に当てはまるわけではありませんが、うちのように人目や他の動物を気にするタイプには、待合室の環境も意外と大事なポイントだと感じています。
まとめ
動物病院選びに、絶対的な正解はないと思います。距離、口コミ、院内の雰囲気、夜間・急患対応の有無、説明の分かりやすさなど、いくつかの視点を組み合わせながら、自分と愛犬にとって通いやすい病院を見つけていくことが大切なのではないかと思います。一度かかりつけを決めたあとも、通ってみて感じた違和感があれば、無理に通い続けず、別の病院を検討してみるのもひとつの選択だと思います。長く付き合っていく相手だからこそ、飼い主自身が安心して相談できるかどうかを、大切にしてもらえたらと思います。この記事が、病院探しの参考になれば幸いです。